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期間限定「DFF」、「DdFF」、「FF8」妄想だだ漏れブログ。 の筈が「進撃の巨人」にも手を出した腐のブログ。 初めての方はカテゴリーの『first』をご覧下さい。
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ガシャンと小さくも鋭い音が全員の耳に届く。
それはウォーリアの手の中から響き渡ったものだった。
カラカラと手の中から零れ落ちるアンプルの破片に気を向ける事無く手を広げ、氷に動きを止められたスコールに手を伸ばす。
スコールの表情はこれまで誰も見た事の無い、まるで小さな子供が怯えたかの様だった。
「スコール、すまない」
低い声がそう呟き、手甲に守られた手が彼の丸い頬に触れた。
ああ、生きている人の温度だ。
そう感じたかの様に柔らかく、愛おしそうに撫で、
「コスモスの言った通りだった」
フリオニール達の方に振り返る。ゆっくりとその動きに彼の纏うマントが追従する。
「どういう事だ?」
「彼は、コスモスとして召喚された者だ」
ラグナの疑惑に彩られた言葉をぴしゃりと跳ね除け、まっすぐに仲間達全員を見つめる。
「ちょっと待ってよ!それなら何で仲間を倒したの!」
「オニオンの言う通りだ。納得できない」
怒りに満ちた表情がいっそ痛々しい。二人だけではない、大勢の仲間が彼のせいで倒れてゆくのを目の当たりにしたのだ。
いくら女神コスモスの言葉とは言え、こんな事は納得できない。
いや、納得したくない。
フリオニールの眼差しにいくつも消えていった仲間の影が浮かんで消える。
きつく歯を食いしばっていないと今にも彼を殺すべく武器を手に取りそうだ。
と、二人の激昂を静観していたラグナが、
「操られていた、とか?」
怒りに燃え滾っていた二人の感情が瞬時に冷える。
ウォーリアだけが顔色一つ変える事無く、小さく首を縦に振った。
肯定、と言う事か。
苦々しい視線をスコールに向け、
「何てこった…。奴さん、そんな事までやり始めたのかよ」
普段飄々としているラグナはその時何処にも居なかった。
きつく握りしめられた拳から、つうと鮮血が地面に落ちた。
グローブがかすかに色を変えるのを、見た瞬間、
「ラグナ!やめろ!」
手持ちの布を取り出し、無理矢理ラグナの手を引っ張ると布をきつく巻き始めた。
止血を進めるフリオニールの目尻はかすかに赤みを帯びていた。
(こいつは情が深いから___)
誰よりも冷静さを無くしていたのは自分だと、ラグナは布で覆われた手を眺めて一人そう感じていた。
「悪い、サンキュな」
「戻ったら念のためケアルな」
ラグナの手を離し、
「教えてくれ、彼に何があったんだ」
その視線はいつも通り、「戦士」である彼のものだった。
きっと彼を道具にし、仲間達を殺める様仕向けた相手を屠るつもりなのだろう。
その意思を汲み取ったかの様に、ウォーリアは静かに語り始めた。
「まだ、オニオンナイトやフリオニールが仲間達と合流する前の事だ」
ラグナはオニオンナイト、フリオニール、そしてスコールと同様にただウォーリアの話を静かに受け止めていた。
それは、あまりにも陰惨だった。

まだ、この戦いが始まって間の無い頃だった。
仲間の一人がカオス軍3人に一度に襲われた事があった。
まだ幼く、それでも内に秘めたる力の強さと心の美しさによってこの異世界に名を呼ばれた彼は、他の仲間達に励まされながら、一生懸命戦いを続けていた。
そんな中の出来事だった。
一緒に居た者達は散り散りばらばらにされ、自分だけがまるで彼等の本当の獲物の様に追いかけまわされた。
何度も攪乱し、魔法を放って反撃していたが、受ける攻撃による怪我がどんどん体力を奪い、気が付けば血まみれのまま引きずる様に逃げ続けていた。
カオスの一人の放った強大なエネルギー弾が、ついに直撃し何メートルも先まで小さな体を吹き飛ばした。
「!」
もう叫び声すら上げられない。このまま自分は今この場で死ぬのだろうか。
ぼやけた輪郭でしか世界を捉えられない彼の足元に、銀の刃がつき立てられた。
「ひゃ!」
と、氷の様に冷たい液体が全身に浴びせかけられる。
ポーションだ!
と、感じた瞬間、先程までの怪我が嘘の様に消えてなくなり、全身を覆っていた疲労が跡形もなく立ち去って行った。
「お前は仲間の元へ行け。ここは俺が食い止める」
ゆっくりと立ち上がった視線の先に、見た事も無い形をした銀の剣を構えた青年が立っていた。
黒と、白。
その2色に愛されたかの様な出立に視線が食い止められる。
「でも、」
「気にするな、行け!」
命令し慣れている言葉は彼の背を強く押した。
「うん!」
彼は決して振り向かなかった。
ばねの様に柔軟に、強靭に足を使い、ただひたすらに走った。
急ぐのだ。自分を助けてくれた彼を助ける為に。
仲間を呼んで青年を援護するのだ。
彼は懸命に仲間の名を呼んだ。叫んだ。
見た事も無い、見知らぬ青年。
初めて会った仲間を、無くしたくなかった。
しかし。
彼の思いは届かなかった。

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