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期間限定「DFF」、「DdFF」、「FF8」妄想だだ漏れブログ。 の筈が「進撃の巨人」にも手を出した腐のブログ。 初めての方はカテゴリーの『first』をご覧下さい。
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何時かの輪廻。
「秩序の聖域」に一人の少女がすやすやと健康的な寝息を立てていた。
いつも女神が座っている三日月を模した様な台座の上にいる少女をあきれた目で見つめながら、ガンブレードのグリップを固く握りしめていた手の力を軽く弛めた。
と、
「おーい、プリッシュ」
スコールの逆方向、ちょうど彼女を挟んで反対側から同じように覗き込んだラグナが面白半分のように声をかけた。
勿論起こすためではない、単なる悪戯だ。
「よくこんなところで眠れるな」
敵の気配はなく、そもそも滅多にカオスの駒の連中がここに立ち入ることは少ない。
しかし、それを差し引いてもこの状況はあまりにも危険すぎるのではないか。
油断しすぎている。
スコールは思わず片手で頭を抱えてしまった。
いくら彼女が戦い慣れており、シャントット曰く、「戦う事に関してなら何も心配していない」と一言で片付けたにせよ、さすがにこれは無いのではないか。
かすかな衣擦れに近い音を立てて剣を消し去り、小さなため息をつくスコールに、
「ま、これだけ爆睡してるってことは、しばらくは俺達もゆっくりできるってことじゃねぇの?」
と、台座の横にどかっと背を預けて座り込み、同じように手の中のマシンガンを消し去った。
「・・・・・・・・・そうだな」
「おー、珍しく素直」
ラグナの方に回り込む事無く、台座の端に寄ってラグナと同じように座り込んだ。
「・・・・・・・うるさい」
と、手の中にアイテムや召喚石を呼び出して装備の点検を始める。
「そういえばさぁ、スコール」
召喚石をカーバンクルからコヨコヨに取り換えようか、などと、己の世界に入り込みかけたスコールを現実に呼び戻す声。
のんびりしたそれに無言で返すのは、もうすっかり慣れたことだ。
ラグナもそれを承知であろう。
「この戦いって、何度も繰り返してるって本当か?」
「・・・・・・は?」
ぽつりと、まるで天気の話でもするかのようにかけられた言葉の意味に一瞬ついていけなかったスコールが、突拍子もない声を上げた。
それはいつもの呆れや苛立ちではない。
まさに『何を言っているんだこいつは』という意味だ。
「何だ、それは」
食いついた、という思惑ではないまま、世間話のようにラグナののんびりした声が秩序の聖域に続く。
未だ台座の上で眠り続ける彼女を挟んだまま。
「え~と、カオスの誰だっけ?が言ってた。この戦いは終わってもまた繰り返されるって」
意味不明だ。
しかし、ただそう切り捨てるわけにはいかない。
そもそもラグナはいったいどこでそんな話を聞いたのだ。
それにもし、その言葉の意味がそっくりそのまま取れるものなら。
そして、その意味が真実なら。
スコールの想像はどんどん深淵へと向かってゆく。
「ラグナ、何処でそんな情報を掴んだ?」
「・・・・思い出した。星の胎内だ。セフィロスだっけ、銀髪の長い奴、アレが皇帝サマと話してたのをちゃっかり聞いちまった」
(ちゃっかり?それはいいんだ)
「本当の事なのか?」
「へ?」
もう装備の変更に構う心の余裕がすっかりなくなってしまったスコールが、手の中のそれを消し去り、冷や汗の流れるままにイライラとラグナに突っかかる。
ラグナもスコールの異変に気付くが、それに構う気はないようだ。
のんびりと台座にもたれかかったままに、曇の多い、僅かに光の差し込む空を見つめている。
「だから!」
「・・・・・・わかんねぇよ」
「もし本当なら、俺達のやってる事は無意味ってことになるんだぞ!」
珍しく感情のまま叫んだスコール。
しかし、
「落ち着けスコール、プリッシュが起きる」
ようやく体を起こし、スコール側の方に顔を向ければ、彼はいつの間にか再び剣を手に戻し、そのままがばりと立ち上がった。
そこにはいつもの感情をセーブし、常に冷静であろうとする傭兵としての彼は存在しなかった。
まるで裏切られたかの様に怒りと悲しみに彩られた眼差しがラグナにはとても哀しく映る。
「ラグナ!アンタはいいのか?!」
「よくないよ」
翡翠の眼差しが静かにスコールを捉える。
いつもの二人とは思えないほどに行動が逆転している二人。
「うるさーい!やっとゆっくりできると思ったのに!」
「!?」
「プリッシュ?!」
緊迫した二人の間を無邪気な怒りに任せた叫び声が邪魔をした。
「せっかくシャントットのおばさんがいないから、ちょっとはサボりもありだろって昼寝してたら、何なんだお前ら!俺の邪魔しやがって!」
ぴょんとスコールの横に降り立ち、そのまま睨みつけるように振り向きながら、
「この戦いが繰り返されてるだぁ!?寝言は寝てから言えよ!それにカオスのあの連中だろ?ラグナに気付かずにへらへら会話するわけないだろ!どうせああやってコスモス軍に揺さぶりかけてやろうって魂胆見え見えじゃねぇか!スコールもそれぐらい見抜けよ!」
お前らよく一緒に戦いに出てるんだろ、と一気にまくし立てた後、眠っている間に軽く癖がついてしまった髪を手櫛で整え始める。
乱暴な言葉づかいの彼女だが、それは確かにスコールの冷静さを取り戻すにはよく効いた。
「さすがプリッシュ、俺もそう言おうと思ってたのにー」
てか、いつの間に起きたんだ?
のんびりした声音を貫いたまま反対側でパタパタと身なりを簡単に整えるプリッシュに軽く手を振れば。
「こいつの声で完全に起こされた。それまでちらちら声は聞こえてたけどな」
スコールを指さし、呆れたように目線を遣れば、すっかり先程までの緊張の解けたスコールがぽかんとした表情で突っ立っている。
「おい、スコール?」
「ああ、そうだな」
やっと帰ってきた言葉に本人もようやくいつもの己を取り戻したようだ。
「まーったく、意外と世話が焼けるなぁ」
と、プリッシュは改めて台座に腰掛け、
「そんな戯言とっとと忘れて休める時に休んどけよ」
と残し、今度は台座の端にもたれかけた。
「俺が見張っとく、そん替わり交代だからな」
「だってよ。先に休ませて貰おうぜ」
再び台座に持たれるラグナ。
・・・勝手な奴ばかりだ。
思わずそう思いながら、大人しく元の場所に腰掛け、
「敵が来たら起こしてくれ」
そう残して眠る体制に体を移すべく目を閉じたスコール。
「交代の時は声かけろよ、じゃ任したぜ」
ありがとな、とラグナも同じように休息を取り始める。
そうして。
遠くを見つめながらプリッシュはただ思った。
子供のようにふるまう大人と、意外と子供な獅子は、こんな真実、知らなくていい。
知るときは輪廻の鎖を断ち切る覚悟を決める時だと。

彼女は知っていた。
その時はそう遠くないと。


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