期間限定「DFF」、「DdFF」、「FF8」妄想だだ漏れブログ。
の筈が「進撃の巨人」にも手を出した腐のブログ。
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注釈:「オランジェ」の続き。
ナイフを入れればとろける中身。
でもそれは本当に甘くておいしいの?
嬉しいというより、いらぬ心配をかけてしまったような、強い頷きに俺は「やっぱり失敗したかも」と思ってしまった。
左手をきつく右手で握りしめたままのスコールの表情は、彼自身の前髪が邪魔をしてよく見えない。
まして自分は立っているが、彼は座ったまま。
小さく震えるようなその手と声にいてもたってもいられないような焦燥感に駆られてしまう。
いつもどこかからかい気味のような、それでいて時々ちらりと男の顔を見せ、心の成長期を懸命に駆け抜ける彼を扱っていた。
時に無神経に、時に保護者の姿勢で。
そんな彼に対して、これまでの彼との付き合いの中で育てていた覚悟をきちんと示すべきと思って決行したことだった。
バレンタインを選んだのはただの偶然。
いや、スコールに「恋人」としての印象を強く植え付けたかったのかもしれない。
しかし、彼は思った以上に繊細で、想像を超えるほど時に大人で、時に酷く子供だった。
きっと理解してしまったのだ。
人ならぬ関係を結んでしまった事が意味する「影」を。
「スコール」
静寂に埋め尽くされた室内に低めの声が響く。
スコールはただ幼い子供が怯えるように返事すら返すことなく、ただラグナの言葉を無言で促す。
夜は刻一刻と濃度を増してゆく。
空調の効いた室内に、うっすらと足元から温度が奪われてゆく。
「スコール、聞いて」
そっと彼の肩に手を乗せれば、成長期真っ只中の薄さの目立つそれがびくりと震える。
ああ、きっと。
彼は今現実と戦っている。
「俺はお前を選んだことを、この関係を恥じる気はない。それをただ、示したかった」
扉の向こうにも気配がしない。
「確かにこの選択で裏切るものもあるし、それを責められても文句は言えねぇ」
訥々と語ることなく、ただ真っ直ぐに。
「でも、それでも俺はお前が欲しかった」
子供を慰める様に、優しさに満ちた声がスコールの耳に、心に波紋のように広がってゆく。
ゆっくりと、今度こそただ真っ直ぐに。
その声の主を静かに見つめるために、うつむいた顔を上げる。
灰色の混じったラピスの色彩は思いのほか水分を含み、持ち主の心を静かに語る。
「そういう事をちゃんと知って欲しかった。だから、渡した」
これから先、誰に責められようと彼だけは守る。
その思いと決意の証明として。
「ラグナ・・・・・・・」
震える唇が静かに彼の名を呼ぶ。
未だ胸元で固く握りしめられている左手は白さを帯び、いっそ痛々しいほどだ。
「俺は・・・」
声がかすれて出てこない。
それでも、伝えたい。
口下手でも、ちゃんとしたものでなくても。
「俺、も・・・。そう、なりたい」
今はまだ足りないから。
あなたの覚悟に見合う自分ではないから。
でも、恥じたりしたくない。
好きだから。
無くしたくないから。
「ああ、解った」
スコールよりも大きな手が軽く彼の目尻を拭う。
気持ちが形となって溢れてしまったのだろう、その滴を奪い、優しく微笑む。
「ちゃんと・・・、大事にするから」
今度こそそっと手を放し、ラグナの方にそうっと伸ばす。
壊れ物に触れるように、未だ動揺に支配されたその心で伸ばした腕は、同じく壊れ物を包み込むような彼の手に今度こそ強く握られる。
そうして。
強く引き寄せられるままにしたがって、スコールは彼の唇を受け入れた。
彼と結んだ「許されざる絆」の中で、これまでで一番苦く、そして何よりも甘いものだった。
ナイフを入れればとろける中身。
でもそれは本当に甘くておいしいの?
嬉しいというより、いらぬ心配をかけてしまったような、強い頷きに俺は「やっぱり失敗したかも」と思ってしまった。
左手をきつく右手で握りしめたままのスコールの表情は、彼自身の前髪が邪魔をしてよく見えない。
まして自分は立っているが、彼は座ったまま。
小さく震えるようなその手と声にいてもたってもいられないような焦燥感に駆られてしまう。
いつもどこかからかい気味のような、それでいて時々ちらりと男の顔を見せ、心の成長期を懸命に駆け抜ける彼を扱っていた。
時に無神経に、時に保護者の姿勢で。
そんな彼に対して、これまでの彼との付き合いの中で育てていた覚悟をきちんと示すべきと思って決行したことだった。
バレンタインを選んだのはただの偶然。
いや、スコールに「恋人」としての印象を強く植え付けたかったのかもしれない。
しかし、彼は思った以上に繊細で、想像を超えるほど時に大人で、時に酷く子供だった。
きっと理解してしまったのだ。
人ならぬ関係を結んでしまった事が意味する「影」を。
「スコール」
静寂に埋め尽くされた室内に低めの声が響く。
スコールはただ幼い子供が怯えるように返事すら返すことなく、ただラグナの言葉を無言で促す。
夜は刻一刻と濃度を増してゆく。
空調の効いた室内に、うっすらと足元から温度が奪われてゆく。
「スコール、聞いて」
そっと彼の肩に手を乗せれば、成長期真っ只中の薄さの目立つそれがびくりと震える。
ああ、きっと。
彼は今現実と戦っている。
「俺はお前を選んだことを、この関係を恥じる気はない。それをただ、示したかった」
扉の向こうにも気配がしない。
「確かにこの選択で裏切るものもあるし、それを責められても文句は言えねぇ」
訥々と語ることなく、ただ真っ直ぐに。
「でも、それでも俺はお前が欲しかった」
子供を慰める様に、優しさに満ちた声がスコールの耳に、心に波紋のように広がってゆく。
ゆっくりと、今度こそただ真っ直ぐに。
その声の主を静かに見つめるために、うつむいた顔を上げる。
灰色の混じったラピスの色彩は思いのほか水分を含み、持ち主の心を静かに語る。
「そういう事をちゃんと知って欲しかった。だから、渡した」
これから先、誰に責められようと彼だけは守る。
その思いと決意の証明として。
「ラグナ・・・・・・・」
震える唇が静かに彼の名を呼ぶ。
未だ胸元で固く握りしめられている左手は白さを帯び、いっそ痛々しいほどだ。
「俺は・・・」
声がかすれて出てこない。
それでも、伝えたい。
口下手でも、ちゃんとしたものでなくても。
「俺、も・・・。そう、なりたい」
今はまだ足りないから。
あなたの覚悟に見合う自分ではないから。
でも、恥じたりしたくない。
好きだから。
無くしたくないから。
「ああ、解った」
スコールよりも大きな手が軽く彼の目尻を拭う。
気持ちが形となって溢れてしまったのだろう、その滴を奪い、優しく微笑む。
「ちゃんと・・・、大事にするから」
今度こそそっと手を放し、ラグナの方にそうっと伸ばす。
壊れ物に触れるように、未だ動揺に支配されたその心で伸ばした腕は、同じく壊れ物を包み込むような彼の手に今度こそ強く握られる。
そうして。
強く引き寄せられるままにしたがって、スコールは彼の唇を受け入れた。
彼と結んだ「許されざる絆」の中で、これまでで一番苦く、そして何よりも甘いものだった。
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