期間限定「DFF」、「DdFF」、「FF8」妄想だだ漏れブログ。
の筈が「進撃の巨人」にも手を出した腐のブログ。
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午後4時。
大統領官邸内、廊下。
いつの間にか慌しく舞い降りた暗闇が世界を覆い隠す夕刻に、エスタ特有のガラスのような建物がほのかな明かりに包まれ始める。
人々が部屋に灯りを灯し始めたのだろう。それはとてもおだやかであたたかく、少しだけ切ないようなほろ苦さを彼に印象付ける。
久しぶりに仕事の限がよく、少しだけ早めに執務室を抜けた彼、ラグナがその景色に目を奪われたのは本当に偶然だった。ここ最近は年末年始へ向けて、あれこれと仕事が飛び交う毎日で、特に一昨日まではろくに休憩の時間も取れなかったのだった。
全フロア空調の整った建物内でも夕刻は確実に冬の訪れを身近に感じる事ができる。唯でさえ大陸北部からの季節風が季節をあっという間に冬に仕立て上げている。
と、ポケットの中がわずかにふるえる。さっとそれを取り出し、画面を見れば新着メールの受信を知らせるイラストが目に映った。
魔女との戦争後に電波が安定した事から爆発的に普及した携帯電話のメールは、すでにお馴染みとなった相手からの着信をただ無心に持ち主に伝えている。
ボタンを慣れた手つきで操作し、目的のメールを開封すれば、シンプルな文面が彼を喜ばせる。
『少し長く休みが取れそうだ。年末はそっちに行く。』
スコールからのメールはいつも簡潔だ。
だが、それでもやっとこうやってやり取りをするようになった彼からのメールはラグナにとってとても貴重なものだ。
戦いから帰って来た彼を口説き落とし、やっとスコールからメールをくれたり会いに来てくれたりするようになった今日までどれほど時間が経ったのか。数えればそんなに長くは無いのかも知れないが、ラグナにとっては一日千秋の思いだった。憎まれ口をききながら、それでも照れが混じる表情と声を自分の前に示し始めた彼が今は可愛くて仕方ないのだ。
親子の間にある絶対的な壁を禁忌の方法で掻い潜るかの様に繋げた絆を、今こうしてかみ締めている。
『解った。楽しみに待ってる』
ぱぱっと返信を打ち、送信。
送信中のアニメーションが終了し、受信メール一覧に切り替わるタイミングで視線を窓に移せば、薄闇の中にあたたかなぬくもりが灯り、道を街灯が照らす街の姿が目に映る。
幼い彼との時間を犠牲にして守った世界がそこに広がっている。
自分は確かにこの決して短くは無い時間の中で、大切な人と別れ、守るべき者達と離れて過ごしてきた。もう決して戻れない、たとえ時の魔女の甘言が己に注がれていても決して選択してはならなかったのであろう今がここだ。思えば決して後悔していないわけがない。むしろ苦味が胸を埋め尽くす過去が、今もこうして己に罰を与え続けている。
それなのに。
自分は今、こんなにも幸せだ。
だからこそ、今。
この仕事を片付けて、年明けに検討される案をまとめて。
やる事は山積みだ。
それでもそれを乗り切れば大切な彼に会える。
すっと窓から廊下の先、己が執務室へと続く方へ向けた視線はあたたかなぬくもりと小さくも固い決意に満ちていた。
だから、この先一生、俺は命をかけてお前を守るよ。
大統領官邸内、廊下。
いつの間にか慌しく舞い降りた暗闇が世界を覆い隠す夕刻に、エスタ特有のガラスのような建物がほのかな明かりに包まれ始める。
人々が部屋に灯りを灯し始めたのだろう。それはとてもおだやかであたたかく、少しだけ切ないようなほろ苦さを彼に印象付ける。
久しぶりに仕事の限がよく、少しだけ早めに執務室を抜けた彼、ラグナがその景色に目を奪われたのは本当に偶然だった。ここ最近は年末年始へ向けて、あれこれと仕事が飛び交う毎日で、特に一昨日まではろくに休憩の時間も取れなかったのだった。
全フロア空調の整った建物内でも夕刻は確実に冬の訪れを身近に感じる事ができる。唯でさえ大陸北部からの季節風が季節をあっという間に冬に仕立て上げている。
と、ポケットの中がわずかにふるえる。さっとそれを取り出し、画面を見れば新着メールの受信を知らせるイラストが目に映った。
魔女との戦争後に電波が安定した事から爆発的に普及した携帯電話のメールは、すでにお馴染みとなった相手からの着信をただ無心に持ち主に伝えている。
ボタンを慣れた手つきで操作し、目的のメールを開封すれば、シンプルな文面が彼を喜ばせる。
『少し長く休みが取れそうだ。年末はそっちに行く。』
スコールからのメールはいつも簡潔だ。
だが、それでもやっとこうやってやり取りをするようになった彼からのメールはラグナにとってとても貴重なものだ。
戦いから帰って来た彼を口説き落とし、やっとスコールからメールをくれたり会いに来てくれたりするようになった今日までどれほど時間が経ったのか。数えればそんなに長くは無いのかも知れないが、ラグナにとっては一日千秋の思いだった。憎まれ口をききながら、それでも照れが混じる表情と声を自分の前に示し始めた彼が今は可愛くて仕方ないのだ。
親子の間にある絶対的な壁を禁忌の方法で掻い潜るかの様に繋げた絆を、今こうしてかみ締めている。
『解った。楽しみに待ってる』
ぱぱっと返信を打ち、送信。
送信中のアニメーションが終了し、受信メール一覧に切り替わるタイミングで視線を窓に移せば、薄闇の中にあたたかなぬくもりが灯り、道を街灯が照らす街の姿が目に映る。
幼い彼との時間を犠牲にして守った世界がそこに広がっている。
自分は確かにこの決して短くは無い時間の中で、大切な人と別れ、守るべき者達と離れて過ごしてきた。もう決して戻れない、たとえ時の魔女の甘言が己に注がれていても決して選択してはならなかったのであろう今がここだ。思えば決して後悔していないわけがない。むしろ苦味が胸を埋め尽くす過去が、今もこうして己に罰を与え続けている。
それなのに。
自分は今、こんなにも幸せだ。
だからこそ、今。
この仕事を片付けて、年明けに検討される案をまとめて。
やる事は山積みだ。
それでもそれを乗り切れば大切な彼に会える。
すっと窓から廊下の先、己が執務室へと続く方へ向けた視線はあたたかなぬくもりと小さくも固い決意に満ちていた。
だから、この先一生、俺は命をかけてお前を守るよ。
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