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期間限定「DFF」、「DdFF」、「FF8」妄想だだ漏れブログ。 の筈が「進撃の巨人」にも手を出した腐のブログ。 初めての方はカテゴリーの『first』をご覧下さい。
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久々の更新で失礼します。蘇芳です。
ひょこひょこ練っていた(5/4配布ペーパー参照)「スコールさんがカオス組の輪廻ネタ」を続き物でやっていこうと思います。
大体何話と決まってないのですが、たぶん10話は超えないと思います。
息切れしない、必ず完結するが目標ですが、よろしければおつきあい下さると嬉しいです。

【注意点】
1 アルスコの様な表現が混じりますが(1話・他)あくまで表現だけです。
2 過去の輪廻が舞台なので捏造がいつも以上に混ざります。(例:ゲーム本編で登場しなかったキャラも想定していますが、特定の名前は出てきません。)
3 ラグスコが基本ですが、別のキャラが混じるかもしれません。

大丈夫な方は『つづき』からどうぞ。

ここでの生活は少々退屈だ。
スコールは一人、愛剣にこびりついた鮮血をふるい落としながらそう思った。
たった今切り捨てたコスモスの者が残した血と、愛剣であるガンブレードの薬莢があちらこちらに散らばっている。
空を切る、さびれた音色と共に舞う赤が黄昏に愛されたような城の床に描かれる。
しかし、それもつい一瞬の出来事でしかない。
飛び散った血は芝生に落ちる最中に玻璃の欠片に姿を変えたかと思うと、一瞬にして霞のように消え去った。
カオスの命に従い、コスモスの連中を延々と屠る日々。
スコールはそれを「任務」として理解し、敵軍を倒す事を第一命題として今日まで生きていた。
彼にとって他者に命令され、それに従う日々というものはかつて過ごしてきた事をもう一度なぞるようなものだった。慣れとでもいうのだろうか、スコールはそれに対する疑問を全く持たずに過ごしていた。
ただ、任務として目の前の敵を倒す。それが女子供であろうとも。
スコールと戦う時は決して一人で立ち向かってはならない。
いつしか、コスモス軍の者達からそんな声が立つようになっていた。
「ここにいたのですか、スコール」
上質なベルベットのようになめらかなドレスがひらりと視界に舞い、黒い羽を身の回りに浮かべた魔女がゆっくりと黒い靄から姿を現した。
アルティミシア。
時を統べる彼女の嫋やかな動作に目もくれず、スコールは彼女の居城にある歯車に腰掛けたまま、ただ静かに息を吐いた。
「あなたの働きはカオスの誰もが認めていますよ」
音もなくスコールの前に舞い降りた魔女の声は甘く優しい。まるで幼子をあやす母のように。
「―そうか」
ようやっとそれだけを呟いた彼に飽きる事も無く、長く美しく整えられた爪をそうっと彼の頬に伸ばす。鋭い剃刀に撫でられたかのような感触に一歩遅れて、スコールの右頬には彼女が描いた深紅の一線が描かれる。
「ずっとここにいて、あなたの任務を果たしなさい。あなたの邪魔になる者は皆排除してあげましょう」
爪で再び頬を、その線をなぞり、スコールの血を擦り取る。そのまま見せつけるかのように舐め上げ、
「あなたはここで魔女の騎士となるのですから」
妖しく色気に満ちた笑みを口角に浮かべてアルティミシアはそうスコールに呪文のように囁いた。
「ああ、解っている」
ようやく顔を上げて彼女を見つめる。その目はまるで新月の海のように深い闇色に染まっていた。


***

―彼女もやられたか」
薄い雲のベールに覆われた様な「秩序の聖域」の空を見つめ、ウォーリア・オブ・ライトはただそう一言だけを溜息とともに吐き出した。
彼の前に立つ、泣きじゃくる幼い少女。
そしてその様子をただ見つめるしかない一人の青年。
彼もあまりの事に言葉を無くしていた。


『彼女』はとても心の強く、戦士とは思えぬ程に優しい人だった。
少女とも仲が良く、まるで本当の姉妹のようにいつも一緒に居たのを青年も良く見ていた。
それはこの血なまぐさい戦場で、穏やかな陽だまりのように戦士たちを癒す光景だった。
今日も少女と彼女は共に居た。
戦いの中、偶然違うルートを選んだばかりに彼女はスコールと一人で戦う事になり、その命を奪われた。
その瞬間を、少女は見てしまったのだった。

「あいつが、カオスのあいつがやったのよ......!」
涙の端々に漏れる言葉に青年も、
「スコール、だったな」
苦い表情で彼の名を紡ぐ。青年もスコールを知っている。
彼も以前スコールと戦い、仲間達のサポートで何とか彼から逃げ切れたものの、酷い怪我を受けてしまった事のある人物の一人だった。
少女の目が暗く光る。
「私、絶対スコールを許さない!」
悲しみに満ちた決意と憎しみに、ウォーリアが手を伸ばす。そのまま少女の髪をさらりと撫で、
「気持ちは解る。だが、決して君一人で戦ってはならない」
「でも!」
と、
「お前が一人で戦いに行ったら、彼女が悲しむんじゃないのか」
ウォーリア達の後ろから静かにやってきた、黒髪の青年が静かに少女を諌めた。
そのまま彼は少女の目線に合わせる様に膝を付き、頬に流れ続ける涙を己の指で軽く拭うと、
―辛かったな」
優しくかけられた言葉に少女の涙がなおも溢れ出し、そのまま青年にしがみつく。
「ラグナ!おねぇちゃんが!」
「ああ」
少女の背を撫で、涙でひきつったような声と悲しみに潰されそうな心を少しでも癒そうとラグナは彼女をあやし続ける。
「スコール、か」
青年が痛みに満ちた感情をその名に変えて吐き出した。
「何としても、倒さなくては」
「ああ」

秩序の聖域に響き渡る泣き声と戦士達の決意。
それはまだ始まりでしかなかった。






 
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